【実飲レポート】Butterfly Brewery “PIANO”は本当にバランスが良いのか?

アメリカ系IPAをこよなく愛する私。強烈なホップの香りやドライな苦味こそ正義!と思っているマンですが、今回は趣向を変えて国産クラフトビールに挑戦。

レポートするのは、愛知県春日井市のButterfly Brewery(バタフライブルワリー)が奏でる「PIANO」です。

音楽をテーマに、個性豊かなビールを生み出すブルワリーのHazy IPA。楽器の王様であるピアノの名を冠したこのビールは、「どんな楽器とも響き合う」というキャッチフレーズの通り、バランスの良さが持ち味と聞いています。

実はこの「PIANO」、父からの貰い物という個人的な背景もあり、普段のビールレビューとは少し違った思いでグラスに注いでみました。普段私が求める”ドカン”とくるパンチ力ではなく、その繊細な「和」の響きに正直戸惑いも…。しかし、その絶妙なバランスの裏に隠されたブルワリーの哲学に触れることで、新たなクラフトビールの楽しみ方を見つけることができました。クラフトビールに詳しい人も、これから飲み始める人も、ぜひ読んでみてください!

楽器の王様「PIANO」が奏でる!Butterfly Breweryの基本情報とコンセプト

愛知県春日井市に拠点を置くButterfly Brewery(バタフライブルワリー)は、「音楽を聴きながらビールが飲める場所を」というコンセプトを掲げ、ユニークなビール造りを行っています。彼らのビールは、クラフトビールのフルーティな味わいと豊かな香り、そして多彩な音楽が楽しめるお店として評判です。

ブルワリーのコンセプトは「音楽とビール」

バタフライブルワリー最大の特徴は、ビールの銘柄に楽器の名前を冠している点です。ビールを音楽の音色に例え、それぞれの楽器が持つイメージや特徴からインスピレーションを受けてレシピを開発しています。

春日井発!ユニークな楽器名シリーズ

PIANO(ピアノ)」の他にも、シトラス系の香りが特徴の「FLUTE(フルート)」や、日本酒酵母を使用した「WAGON(和琴)」、ビーツを使ったピンク色のIPA「MARIMBA(マリンバ)」など、多彩なラインナップがあります。これらのビールは、飲む人に豊かな時間を紡いでほしいというブルワリーの想いが詰まっており、単なる飲料を超えた体験を提供しようとしています。楽器をモチーフとしたカラフルなラベルデザインも、手に取る楽しさを演出しています。

「PIANO」はどんなビール?基本スペックを紹介

今回レポートする「PIANO」は、ブルワリーのラインナップの中でも特にバランスの良さを追求した一本です。

スタイルはHazy IPA、アルコール度数7.5%の飲みごたえ

PIANOのビアスタイルは、近年世界的に人気が高まっているHazy IPA(ヘイジー・アイピーエー)です。Hazyとは「濁っている」という意味で、濁った外観と、ジューシーでトロピカルなアロマが特徴。苦味が抑えられていることが多いスタイルですが、PIANOは「甘い香りと意外なほどドライでしっかりとした苦味」が特徴だとブルワリーの公式サイトにも記載されています。

  • 種類:クラフトビール

  • 名前:PIANO / ピアノ

  • スタイル:Hazy IPA (インディア・ペールエール)

  • アルコール度数:7.5%

  • 特徴:甘い香りと意外なほどドライでしっかりとした苦味。
    どんな楽器とも響き合うピアノのようなIPA。

アルコール度数が7.5%と少し高めであることから、香りや味わいのコク深さが期待できます。

強烈なホップ好きが抱いた最初の戸惑い:「PIANO」のテイスティングレポート

普段、アメリカ西海岸系のウエストコーストIPAや、ダブルIPAといった、ホップを大量に投入し、ガツンとした苦味とドライなキレを追求したビールを好む私。その舌でこの「PIANO」を味わったとき、実は最初に戸惑いを感じました。

アメリカ系IPA好きが国産ビールに抱く「あるある」

クラフトビールの中でも、特にホップの個性を強調したアメリカンスタイルを好む人であれば、国産クラフトビールに対して「味が優しすぎる」「香りが弱い」といった先入観を持つことは少なくありません。私もその一人で、PIANOを飲む前は「また苦味の少ないマイルドなIPAかな」という思いがありました。

正直な感想!「苦味」と「喉越し」が中途半端に感じた理由

グラスに注いで一口飲んだとき、まず感じたのは「中途半端さ」でした。公式サイトにある「しっかりとした苦味」という言葉に対し、私が普段求める強烈な苦味や、喉を焼き切るようなドライさはありません。

  • 苦味: 苦味の質は穏やかで、舌の上に残るホップのキャラクターも、シトラスや松のような爆発的なアロマではなく、控えめで優しい甘い香りがメインでした。

  • 喉越し: Hazy IPA特有のクリーミーさがあるものの、アルコール度数7.5%の割にはボディが軽快で、「ガツンと来る」飲みごたえが不足しているように感じてしまったのです。

結果的に、この「PIANO」は私の個人的な好みの枠には収まらない、「消耗するのに苦労するタイプ」のビールだと正直に思ってしまいました。(※「消耗する」とは、惰性で飲むのではなく、意識して飲み切るのにエネルギーを使う、という意味で使っています。)

Hazy IPAらしい華やかな香りと外観

しかし、冷静にビールを観察し、「PIANO」本来の魅力を探ると、非常に美しい側面が見えてきました。

グラスに注いだ瞬間に広がる優しい甘いアロマ

外観は、Hazy IPAらしい濁りのあるゴールデンイエロー

泡立ちはきめ細かく、持ちは良い方です。特筆すべきはやはり香りでしょう。グラスに鼻を近づけると、トロピカルフルーツや柑橘系の香りが広がり、ホップ由来の華やかさが鼻腔をくすぐります。これは、公式サイトに記載の通り「甘い香り」が特徴的で、アロマの美しさは間違いなく一流です。アメリカ系IPAの攻撃的なアロマとは異なり、静かで優雅な音色を思わせる、心地よい香り立ちでした。

「中途半端」から「絶妙なバランス」へ!国産クラフトビールPIANOの正しい楽しみ方

「PIANO」のテイスティングを通して私が悟ったのは、このビールは「私の好むビール」ではなく、「多くの人に愛されるビール」である、という事実でした。私の舌が「中途半端」と評価した要素こそが、このビールの真の魅力だったのです。

「どんな楽器とも響き合う」バランスの良さの正体

Butterfly Breweryの公式サイトにもある通り、PIANOは「どんな楽器とも響き合う」ことを目指しています。この表現は、「誰の好みにも寄り添えるバランスの良さ」を意味していると解釈できます。

繊細な苦味とモルトのコクがもたらす調和

PIANOの味わいは、まさに調和そのものです。

最初の感想

再評価(真の魅力)

苦味

中途半端で弱い

料理や会話の邪魔をしない「繊細な苦味」。後味がクリーンで、日本の食卓に合う穏やかさ。

ボディ

物足りない

Hazy IPAの芳醇なアロマを保ちつつ、アルコール度数7.5%を感じさせない「軽快な飲みやすさ」を実現。

アロマ

控えめ

攻撃的でなく、優雅で華やか。「優しく包み込むような甘い香り」がリラックス感を誘う。

この調和こそが、普段IPAを飲まない人でも「美味しい」と感じやすく、また食事の味を邪魔しないという大きな利点につながっています。

クラフトビール初心者こそ試すべき理由

この「バランスの良さ」と「飲みやすさ」は、まさにクラフトビール入門者にとって理想的です。

  1. 苦味のハードルが低い: ビールが苦手な人が最初に抱く「苦すぎる」というネガティブな印象をPIANOは与えません。優しい甘さと穏やかな苦味のコントラストが心地よく、無理なく飲み進められます。

  2. Hazy IPAの魅力を知れる: クラフトビールの中でも特に人気の高いHazy IPAの「フルーティな香り」という特徴を、純粋に体験できます。

  3. アルコール感を感じさせない: 7.5%という度数を意識させないスムーズな口当たりで、じっくりと味わう楽しさを教えてくれます。

このビールに合うのはどんな料理?ペアリングの提案

PIANOの「どんな楽器とも響き合う」という特性から、ペアリングの幅は広いです。特に、その優しいアロマと穏やかな苦味は、日本の家庭料理との相性が抜群です。

  • 焼き鳥(タレ): 醤油とみりんのタレのコクを、PIANOのモルトの甘さと華やかなアロマが包み込みます。後味のクリーンさが、脂っこさをリフレッシュしてくれます。

  • 揚げ物(天ぷらや唐揚げ): 揚げ物の衣の香ばしさと脂を、7.5%のアルコール度数と控えめな苦味が適度に流し、口の中をリセットしてくれます。ホップの柑橘アロマがレモンの役割も果たします。

  • 白身魚のカルパッチョ: 繊細な魚介の風味を邪魔することなく、PIANOの優しいフルーツアロマが爽やかなアクセントとなります。

どんなシーンで飲むべき?クラフトビール「PIANO」をおすすめしたい人

私のようにアメリカ系IPAのヘビーユーザーから一度は「中途半端」と評価されてしまったPIANOですが、その評価を乗り越え、私は自信を持ってこのビールを「多くの人の日常に寄り添う一本」としておすすめできます。

PIANOを「推したい」と考えるターゲット層

私の体験と商品の特性を踏まえ、このクラフトビール「PIANO」を特におすすめしたいのは以下のような方々です。

おすすめしたい人

理由

クラフトビール入門者

苦味が優しく、華やかな香りが楽しめるため、最初のIPAとして最適。

普段、日本の食事をよく楽しむ人

料理の味を邪魔せず、幅広い和食や洋食に合わせられる調和の取れた味わい。

家族や友人への贈り物を選ぶ人

楽器をモチーフとしたラベルは見た目も楽しく、会話のきっかけになります。特に、私のように両親世代に贈る一本としても適しています。

個人的総評

「PIANO」は、私にとっては父の優しさというフィルターを通して評価された一本でした。ホップの爆弾のような強さや、エッジの効いたキレ味ではなく、「包容力」のあるビール。

普段の自分の嗜好とは違うからといって、そのビールの魅力を否定してはいけない。飲む環境やシチュエーション、そして誰と飲むかによって、ビールの感じ方は大きく変わるということを、教えてくれたような一本だった気がします(笑)

もしあなたが「強烈なIPA」を探しているなら、これは違うかもしれません。しかし、日常の喧騒から離れ、ゆったりと音楽を聴きながら、大切な人と優しい時間を過ごしたいと思うなら、この「PIANO」は最高の伴奏者になってくれるはずです。

「PIANO」の商品詳細情報

クラフトビール「PIANO」の具体的な情報をまとめてご紹介します。購入時やブルワリーについてさらに詳しく知りたい方は、公式サイトをご確認ください。

項目

内容

補足

ブルワリー名

Butterfly Brewery(バタフライブルワリー)

愛知県春日井市

商品名

PIANO(ピアノ)

楽器シリーズの一つ

ビアスタイル

Hazy IPA (インディア・ペールエール)

濁りのあるジューシーなスタイル

アルコール度数

7.5%

やや高めだが、飲み口は軽快

特徴

甘い香りと意外なほどドライでしっかりとした苦味。どんな楽器とも響き合うピアノのようなIPA。

公式サイトより

主要コンセプト

音楽とビールが奏でる豊かな時間

どのビールにも楽器の名前を冠している

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SAKEVIVAの運営に携わるライターのGoです。旅や音楽、バスケ、ファッション、車など幅広いカルチャーに興味があります。お酒はテキーラ、ワイン、クラフトビールを特に愛し、家より外で楽しむスタイルです。 テキーラマエストロとしての知識と、収集癖、行動力を活かし、先入観を無くす新しい気づきを提供したい。体験レポートや歴史、文化を深掘りし、皆さんの好奇心を刺激するような記事をお届けします。

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