映画『ワイルド・スピード』シリーズでお馴染みの”ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンがプロデュースするテキーラ「Teremana(テレマナ)」。
セレブが手がけるお酒と聞くと、どうしても「話題性重視なのでは?」と疑ってしまいがちですが、実際のところはどうなのでしょうか。日本テキーラ協会公認テキーラ・マエストロの私が、並行輸入品を入手して徹底的に味わってみました。
結論から言うと、これは間違いなく本格派のプレミアムテキーラです。ロック様の情熱が込められた「大地の精霊」の実力を、専門的な視点から詳しくレポートします。
ハリウッドスターがプロデュースするテキーラとの出会い
テキーラ・マエストロが注目した理由
テキーラ業界において、近年ハリウッドセレブがプロデュースするブランドが急増しています。しかし、その多くは既存の蒸留所に製造を委託する形が一般的です。そんな中、ドウェイン・ジョンソンのTeremanaが特別な理由は、専用蒸留所を設立したという点にあります。
これは単なる名前貸しではなく、本気でテキーラ造りに取り組んでいる証拠です。テキーラ・マエストロとして数多くのブランドを評価してきた私にとって、この姿勢は非常に興味深いものでした。さらに、アメリカでの価格が30ドル程度という手頃さも魅力的で、「品質と価格のバランスはどうなのか」という純粋な好奇心から入手を決意しました。
世界的な成功を収めるセレブ・テキーラブーム
現在、テキーラ市場では著名人がプロデュースするブランドが注目を集めています。
バスケットボールの神様マイケルジョーダンがプロデュースしているものや、ハリウッドスターのジョージクルーニーがプロデュースしているものなど。
※私自身どちらも自宅に保管しているので、別記事で改めて紹介させてもらいます(笑)
ドウェイン・ジョンソンが選んだテキーラという世界
ドウェイン・ジョンソンがテキーラの世界に足を踏み入れたのは、単なるビジネス的判断ではありません。彼自身がテキーラ好きの一家に育ったという背景があり、本物のテキーラ愛好家としての視点が製品に反映されています。
2020年の発売当初は新型コロナウイルスの影響で大規模なマーケティングキャンペーンを変更余儀なくされましたが、インスタライブで「Teremana Tuesdays」という番組を配信し、視聴者との心の繋がりを重視する姿勢を見せました。この真摯な取り組みが功を奏し、テキーラの発売初年度としては異例の売上を達成したのです。
Teremana(テレマナ)の基本情報
2020年にローンチされたTeremanaは、単なるセレブブランドの枠を超えた本格的なプレミアムテキーラです。
ブランド名に込められた深い意味
「Teremana」という名前は、ラテン語の「Terra(地球)」とポリネシア語の「Mana(生命力、神秘的な力)」を組み合わせた造語で、「Spirit of the Earth(大地の精霊)」という意味が込められています。この名前からも、自然への敬意とスピリチュアルな価値観が感じられます。
こだわり抜かれた製法と品質
Teremanaの品質へのこだわりは、製造工程の随所に現れています。
家族経営蒸留所とのパートナーシップ
メキシコ・ハリスコ州にある家族経営の蒸留所と協力し、手作業・スモールバッチでの製造にこだわっています。使用されるアガベは、ロスアルトス(ハイランド)地方の高地で栽培されたもので、この地域特有の濃厚な甘さが特徴です。
銅製蒸留器による丁寧な製造
一般的にテキーラの蒸留には、メンテナンスが容易なステンレス製蒸留器が使用されることが多いのですが、Teremanaでは銅製の蒸留器のみを使用しています。銅は硫黄化合物を吸着してテキーラをよりスムースに仕上げる効果があり、手間を惜しまない品質重視の姿勢が表れています。
さらに、レンガ製の釜でアガベを加熱する伝統的な手法を採用しており、圧力釜では得られない香ばしい甘さがテキーラに加わります。持続可能性にも配慮し、製造過程で出たアガベ繊維は100%天然堆肥として再利用し、廃水は最先端の浄水システムで処理しています。
【実飲レポート】テキーラ・マエストロが徹底解剖
実際にAmazonで並行輸入品を購入し、テキーラ・マエストロとしての視点で詳細に評価してみました。

ブランコ:爽やかな柑橘系の魅力
ブランコは熟成を行わない透明なテキーラで、アガベ本来の味わいを最も純粋に感じられるタイプです。
香り・味わい・フィニッシュの詳細評価
香り: 明るい柑橘系の香りが前面に出ており、オレンジ系の爽やかさが印象的です。加熱されたアガベの甘い香りと、わずかな黒胡椒のスパイシーさも感じられます。全体的に心地よく、尖った特徴はありませんが、しっかりとテキーラらしい個性を備えています。
味わい: 結構甘い印象と同時に、適度なスパイシーさも感じられます。苦味は控えめで、高原のアガベらしい爽やかな柑橘系の風味が口の中に広がります。30ドル以下という価格帯を考えると、十分に満足できる仕上がりです。
フィニッシュ: 滑らかでフレッシュな後味が特徴的で、シトラス感とアガベの香りが心地よく残ります。時間の経過とともに香りが飛び、甘さが残るような印象もありますが、氷を加えるとアガベらしい香りが戻ってきて、また違った美味しさを楽しめます。
レポサド:バランス抜群の傑作
レポサドは2ヶ月以上1年未満の樽熟成を施したテキーラで、Teremanaの中でも特に印象的なのがこちらです。
バーボン樽熟成による複雑な風味
使用済みバーボン樽での熟成により、オークとバニラの風味が加わり、滑らかでリッチなフィニッシュを実現しています。樽由来の香ばしさが、アガベ本来の甘さと絶妙に調和しています。
アガベの甘さとオークのハーモニー
レポサドの最大の魅力は、ブランコ以上に感じられる甘さとアガベのグリーンな香りのバランスの良さです。樽熟成による複雑さが加わりながらも、アガベ本来の個性を損なうことなく、むしろそれを引き立てる効果を発揮しています。
正直に言うと、これは「めちゃめちゃ美味しい」テキーラです。セレブがプロデュースしたブランドという先入観を完全に覆すクオリティで、他の同価格帯のテキーラと比較しても十分に競争力があります。
こんな人・こんなシーンにおすすめ
Teremanaの魅力は、その多様性にあります。
映画ファンへの特別な一杯

ザ・ロックことドウェイン・ジョンソン氏 Photo by Hiram Garcia
『ワイルド・スピード』シリーズやドウェイン・ジョンソンのファンであれば、映画鑑賞のお供として楽しむのも一興です。ロック様が実際に愛飲しているテキーラを味わいながら、彼の出演作品を観るという贅沢な時間を過ごせます。
また、友人との集まりでも話題になること間違いなしです。「これ、ロック様がプロデュースしたテキーラなんだよ」という一言で、場の雰囲気が盛り上がります。
テキーラ初心者にも自信を持って勧められる理由
「テキーラは強くて飲みにくい」というイメージを持つ方にこそ、Teremanaを試していただきたいと思います。特にブランコは滑らかでフレッシュな仕上がりで、テキーラ特有の刺激的な感覚が苦手な方でも飲みやすいはずです。
ロックやストレートで楽しむのはもちろん、ソーダ割りにしても美味しくいただけます。マルガリータなどのカクテルベースとしても優秀で、用途の幅広さも魅力の一つです。
まとめ:ロック様が生み出した本格テキーラの実力
Teremanaは、単なるセレブの名前貸し商品ではありません。ドウェイン・ジョンソンの本気度が伝わる、質実剛健な作りの本格派プレミアムテキーラです。
専用蒸留所の設立、銅製蒸留器の使用、レンガ製釜による伝統的な加熱など、品質へのこだわりが随所に感じられます。特にレポサドは、アガベの甘さと樽熟成の複雑さが見事に調和した傑作と言えるでしょう。
テキーラ・マエストロとして多くのブランドを評価してきましたが、Teremanaは価格を考慮すれば十分に推奨できる品質を備えています。ドウェイン・ジョンソンファンはもちろん、テキーラ初心者から愛好家まで、幅広い層におすすめできる一本です。
Teremana 商品詳細情報
購入方法と価格情報
基本情報
製品名:Teremana Blanco / Reposado / Añejo
容量:750ml
アルコール度数:40%
原料:アガベ100%(プレミアムテキーラ)
製造国:メキシコ(ハリスコ州)
購入方法 現在、日本には正規の輸入代理店がないため、並行輸入品をAmazonや楽天市場などのオンラインショップで購入可能です。アメリカでは関税を含めずに30ドル程度で購入できますが、日本での価格は輸送費や関税の関係で高めになります。
ラインナップと特徴
ブランコ:無熟成、爽やかな柑橘系の香りと滑らかな口当たり
レポサド:バーボン樽熟成、オークとバニラの風味が特徴
アネホ:長期熟成、より複雑で深い味わい
Teremanaは、ハリウッドスターが手がけたとは思えないほど本格的なテキーラです。ぜひ一度、「大地の精霊」が込められたこの特別な一本を味わってみてください。