ロックミュージックとテキーラ。一見、交わらないように思える二つの世界が融合した、最高にクールな一本があるのをご存知でしょうか。その名も「AC/DC サンダーストラック テキーラ」。あの伝説的ロックバンドAC/DCがオフィシャルで手がける、ファン垂涎のテキーラです。
今回は、琥珀色に輝く「レポサド」を実際にテイスティングする機会を得ました。
ロックバンドの名前を冠したお酒と聞いて、企画モノだと侮ってはいけません。その味わいは、テキーラマエストロの自分も常識を覆されるほどの衝撃と、良い意味での「裏切り」に満ちていました。
この記事では、その味わいの秘密から、音楽と共に楽しむ最高のシチュエーションまで、徹底的にレポートします。
伝説のロックバンドAC/DCが放つテキーラ「サンダーストラック」とは?
世界中の音楽ファンを魅了し続けるAC/DCの名を冠したこのテキーラは、単なるアーティストグッズの域を遥かに超えた、本格的なスピリッツです。
AC/DCとテキーラの意外な関係性
AC/DCほどのビッグネームが、なぜテキーラを手がけることになったのでしょうか。彼らがパートナーとして選んだのは、メキシコ・ハリスコ州のテキーラ町にある名門蒸留所「Fabrica de Tequilas Finos」。品質に一切の妥協を許さない蒸留所との協業により、このプロジェクトはスタートしました。
商品名は、1990年にリリースされ、今なお世界中のスタジアムを揺るがす彼らの代表曲「Thunderstruck(サンダーストラック)」に由来します。その名の通り、音楽がもたらす”雷に打たれたような衝撃”を、テキーラの味わいで表現するという、壮大なコンセプトが込められているのです。これは、音楽とスピリッツ、二つのカルチャーへの深いリスペクトが生んだ、奇跡のコラボレーションと言えるでしょう。
稲妻が走るボトルデザイン!琥珀色のレポサドが映えるクールな出で立ち
まず目を奪われるのは、そのアイコニックなボトルデザインです。黒を基調としたラベルの中央には、誰が見てもそれと分かるAC/DCのロゴが鎮座。そして、その下には商品名の由来となった「Thunderstruck」の稲妻のロゴが大胆にデザインされています。
この力強いデザインの中で、ボトルを満たす液体は美しく透き通った琥珀色に輝いています。これは樽熟成を経た「レポサド」ならではの色合い。黒いラベルとのコントラストが、熟成されたテキーラの持つ高級感と、ロックの持つ激しさを見事に両立させています。部屋の棚に一本置いておくだけで、空間が一気にロックな雰囲気に変わる。そんな存在感を放つボトルです。
そもそも「レポサド」ってどんなテキーラ?ブランコとの違いを解説
テキーラと聞くと、無色透明なものを思い浮かべる方が多いかもしれません。それは「ブランコ」または「シルバー」と呼ばれる、熟成させていない(もしくはごく短期間の熟成)タイプのテキーラです。
今回ご紹介する「レポサド」は、スペイン語で「休ませた」という意味を持ちます。その名の通り、オーク樽の中で2ヶ月以上、1年未満の期間、ゆっくりと熟成されたテキーラのことです。
この熟成期間によって、ブランコが持つアガベ(竜舌蘭)由来のフレッシュでシャープな味わいに、樽由来のまろやかさや、バニラやカラメルのような甘く複雑な香りが加わります。アルコールの刺激も穏やかになり、口当たりが格段に柔らかくなるのが特徴です。そのため、ショットで一気に飲むのではなく、ウイスキーのようにロックやストレートで、その香りや味わいの変化をじっくりと楽しむのに最適なテキーラと言えるでしょう。
【実飲】テキーラマエストロがテイスティング!その味わいはまさに”Back in Black”
それではいよいよ、この「AC/DC サンダーストラック テキーラ レポサド」を実際にテイスティングしていきます。
今回この一本と向き合うために訪れたのは、東京・六本木にあるテキーラバーの草分け的存在「アガヴェ」。
400種類以上のテキーラが並ぶ、まさに“テキーラの聖地”です。薄暗くオーセンティックな雰囲気の中、バックバーにこの稲妻のボトルを見つけた時の高揚感は忘れられません。ロックの魂は、液体の中でどのように表現されているのでしょうか。

グラスに注いだ瞬間に広がる、バニラとカラメルのような甘い香り
グラスに注ぐと、まずその美しい琥珀色に心が躍ります。光にかざすとキラキラと輝き、熟成によるオイル分がグラスの縁をゆっくりと伝う「レッグ(涙)」も確認でき、品質の高さがうかがえます。
香りは非常に華やか。第一印象は、アメリカンオーク樽由来の甘いバニラの香り。続いて、煮詰めたアガベシロップやカラメルのような、少し香ばしさを伴う甘いアロマが立ち上ります。奥の方には、シナモンのような温かみのあるスパイスのニュアンスも感じられ、非常にリッチで多層的な香りです。テキーラ特有のツンとしたアルコール感はほとんどなく、この香りだけでしばらく楽しめてしまうほどです。
一口目の衝撃!アンガス・ヤングのギターのごとく稲妻が走る
期待を込めて、一口含みます。その瞬間、まさに稲妻が走りました。
AC/DCのギタリスト、アンガス・ヤングが弾く切れ味鋭いギターリフのように、シャープで鮮烈なアガベの風味が舌の上で炸裂します。しかし、それは決して攻撃的な刺激ではありません。驚くほどクリーンで、洗練されたアタックです。これが「Thunderstruck」かと、思わず膝を打ちました。
アガベの甘みと樽由来のスパイシーさが織りなす絶妙なハーモニー
衝撃的な第一印象の後には、複雑で豊かな味わいが波のように押し寄せます。
まず感じるのは、原材料であるブルーアガベをじっくりと加熱したことで生まれる、蜜のような濃厚な甘み。これが味わいの土台をしっかりと支えています。そして、その甘みを追いかけるように、樽熟成によって生まれたであろう黒胡椒やナツメグのような心地よいスパイシーさが現れ、味わいを引き締めます。甘さとスパイシーさ、この二つの要素が完璧なバランスで共存しており、口の中で見事なハーモニーを奏でてくれるのです。
シルクのようになめらかで、心地よく続く余韻
このテキーラの真価は、その余韻(フィニッシュ)にあるのかもしれません。
アルコール度数40%とは思えないほど口当たりはなめらかで、まるでシルクのようです。飲み込んだ後も、アルコールの嫌な熱さは一切なく、アガベの甘みとオーク樽の香ばしい香りが、心地よく鼻から抜け、舌の上に長く留まります。この穏やかで長い余韻は、AC/DCの楽曲が持つ、時代を超えて愛される普遍的な魅力を彷彿とさせました。
専門家が唸った「良い裏切り」。産地の常識を覆す飲みやすさの秘密
このテキーラには、テイスティングを進める中で、テキーラマエストロとしてもう一つの大きな驚きがありました。それは、味わいと産地の間に存在する「良い意味での裏切り」です。
常識とのギャップに驚き!力強い「バジェス産」なのに、味わいは「ロス・アルトス」のよう
このテキーラが造られる「Fabrica de Tequilas Finos」蒸留所は、ハリスコ州のテキーラ・ヴァレー、通称「バジェス地方」に位置します。バジェス地方で育つアガベは、火山性のミネラル豊富な土壌の影響で、力強く、土やハーブを思わせるドライでスパイシーな味わいのテキーラを生むのが一般的です。
そのため、私も飲む前は「骨太でパワフルな、ロックらしい味わいだろう」と想像していました。しかし、実際に感じたのは、華やかな甘みと驚くほどのスムースさ。これは、甘みが強くフルーティーなテキーラが生まれることで知られる、もう一つの名産地「ロス・アルトス地方」のテキーラを彷彿とさせる味わいだったのです。この予想を裏切るギャップこそ、このテキーラの面白さの核心であり、製造者の高い技術力の証明と言えるでしょう。
【テキーラ豆知識】産地で変わる味わいの違いとは?

テキーラの味わいを大きく左右する二大産地、バジェスとロス・アルトス。それぞれの特徴を知ることで、このテキーラの面白さがより深く理解できるはずです。以下に、一般的な特徴をまとめました。
バジェス地方 (Tequila Valley) | ロス・アルトス地方 (Highlands) | |
場所 | ハリスコ州中央部。テキーラ町周辺の低地。 | ハリスコ州東部の高地。 |
土壌 | 火山性でミネラルが豊富。黒土。 | 鉄分を多く含む赤土(粘土質)。 |
アガベ | 繊維質が多く、糖分はやや控えめ。 | 水分を多く含み、糖度が高い。 |
一般的な味わい | 土、ハーブ、柑橘系のニュアンス。力強くドライでスパイシー。 | フローラル、フルーティーなアロマ。甘みが強くまろやか。 |
このAC/DCテキーラは、バジェス産でありながら、ロス・アルトス産のような華やかさと甘みを兼ね備えている、まさに”いいとこ取り”の一本なのです。
テキーラマエストロGoが提案する、最高の楽しみ方
このユニークで高品質なテキーラを、さらに楽しむための方法をいくつかご紹介します。
やはり王道。AC/DCを聴きながら、音楽とのペアリングで体験は最高潮に

最もおすすめしたいのは、やはり音楽とのペアリングです。
部屋の照明を少し落とし、良質なスピーカーでAC/DCのアルバム『Back in Black』を再生。一曲目の「Hells Bells」の不穏な鐘の音から始まり、アルバムを通して流れるソリッドなギターリフに身を任せながら、このテキーラをゆっくりと味わう時間は、何物にも代えがたい贅沢です。もちろん、このテキーラの名前の由来となった「Thunderstruck」を聴きながら飲むのも最高。イントロの有名なギターフレーズが始まった瞬間にグラスを傾ければ、その体験は忘れられないものになるでしょう。
簡単カクテルにも挑戦!「レポサド・パローマ」で爽やかな一面も楽しむ

ストレートが素晴らしいのはもちろんですが、カクテルにしてもその魅力は失われません。
おすすめは、テキーラの定番カクテル「パローマ」のアレンジです。通常はブランコテキーラで作りますが、これをAC/DCレポサドに変えてみましょう。
【レシピ:レポサド・パローマ】
グラスに氷をたっぷり入れる
AC/DCテキーラ レポサドを45ml注ぐ
グレープフルーツジュース(できれば生搾り)を90ml加える
軽く混ぜ、ソーダを適量注ぐ
お好みでカットしたライムやグレープフルーツを飾る
レポサドの持つ樽由来の甘みとコクが、グレープフルーツの爽やかな酸味と見事にマッチし、通常のパローマよりも格段に奥行きのある味わいになります。テキーラの新しい一面を発見できる、ぜひ試してほしい飲み方です。
まとめ:AC/DCテキーラはファンならずとも全ての酒好きに試してほしい一本
今回ご紹介した「AC/DC サンダーストラック テキーラ レポサド」は、単なるアーティストの企画商品ではありませんでした。
それは、ロックの魂とテキーラ職人の技が見事に融合した、本物のプレミアムテキーラです。
AC/DCファンにとっては、音楽の世界観を五感で味わえる特別な一本になることは間違いありません。そして、テキーラに苦手意識を持っていた方には、その驚くほどの飲みやすさと豊かな味わいで、きっとテキーラの概念を覆してくれるはずです。もちろん、日頃から様々なお酒を嗜む愛好家の方々にも、産地の常識を覆すこのユニークな味わいは、新鮮な驚きと満足感を与えてくれるでしょう。
日常を少しだけ刺激的に、そして豊かにしてくれるこのロックな一本を、ぜひあなたのグラスに注いでみてください。
店舗・商品詳細情報
店舗情報
「AC/DC サンダーストラック テキーラ レポサド」商品詳細
製造元・輸入元 | リードオフジャパン株式会社 |
|---|---|
ブランド・シリーズ | AC/DC サンダーストラック |
商品コード | 67191 |
内容量 | 750ml |
原産国(国名) | メキシコ合衆国 |
産地 | ハリスコ州バジェス地方テキーラ地区 |
原材料(テキーラ/メスカル) | 100%アガベ |
蒸留所番号(テキーラ/メスカル) | Fabrica de Tequilas Finos, S.A. de C.V. (NOM 1472) |
