【日本酒ラベルの読み方】純米大吟醸や特別純米など8種類の違いと選び方

日本酒のラベルを見ると、「純米大吟醸」「純米吟醸」「本醸造」など、いろいろな種類が書かれていますよね。

「大吟醸って書いてあるから高そうだけど、純米吟醸と何が違うんだろう?」

「本醸造って、純米酒と比べてどうなの?」

そんな風に、違いがよく分からなくて、どれを選んだらいいか迷ってしまう…という方も多いのではないでしょうか。

実は、これらの名前は法律(酒税法)で定められたルールに基づいており、日本酒の「造り」や「原料」の違いを示しています。

そして、この違いこそが、日本酒の香りや味わいの決め手になっているんです。

この記事では、日本酒の種類の違いを分かりやすく徹底解説!

読み終える頃には、ラベルの意味がスッキリ理解でき、自分の好みやシーンに合った日本酒を選べるようになっているはずです。

記事の後半では、それぞれのタイプを代表する「これを選べば間違いない」というおすすめ銘柄もご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

奥深い日本酒の世界へ、一歩踏み出してみましょう!

「純米」「吟醸」の違いを知る第一歩!

日本酒選びの際、まず目に入るのが「純米酒」や「吟醸酒」といった表記です。

そもそも「特定名称酒」とは?

私たちが普段、居酒屋や酒屋さんで見かける「純米大吟醸」や「本醸造」といった日本酒。

これらは、日本酒の中でも特定の基準(原料、製造方法、品質など)を満たしたものにだけ表示が許される「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」と呼ばれるものです。

酒税法(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律)によって、厳密に8種類に分類されています。

この8種類の分類を理解することが、日本酒の違いを知るための最短ルートなんです。

「なんだか難しそう…」と思うかもしれませんが、ご安心ください。

ポイントはたった2つだけ。

その2つのポイントさえ押さえれば、驚くほど簡単に違いが理解できるようになります。

次の項目で、その重要なポイントを詳しく見ていきましょう。

味と香りの決め手!「精米歩合」と「醸造アルコール」

日本酒の味わいや香りを左右する、最も重要な2つの要素。

それが「精米歩合(せいまいぶあい)」と「醸造アルコール(じょうぞうアルコール)の有無」です。

1. 精米歩合(せいまいぶあい)

精米歩合とは、日本酒の原料であるお米を「どれだけ磨いたか(削ったか)」を示す数値です。

例えば、「精米歩合60%」と書かれていたら、お米の表面を40%削り取り、中心部の60%を使ってお酒を造った、という意味になります。

なぜお米を磨くのでしょうか?

それは、お米の表面近くには、タンパク質や脂質、ビタミンなどが多く含まれており、これらが多すぎると、日本酒の味に「雑味(ざつみ)」として現れてしまうことがあるからです。

逆に、お米の中心部分(心白=しんぱく)は、デンプン質が主体で、ここが日本酒のクリアな味わいや「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれるフルーティーな香りのもとになります。

つまり、精米歩合の数値が低い(=たくさん磨いている)ほど、雑味が少なく、クリアで華やかな香りのお酒になりやすい傾向があります。

一般的に、たくさん磨くほど手間もコストもかかるため、価格も高くなる傾向があります。

2. 醸造アルコール(じょうぞうアルコール)の有無

醸造アルコールとは、主にサトウキビなどを原料として造られた、純度の高いアルコールのことです。

これを日本酒の製造工程(もろみの最後の段階)で加えるかどうかで、日本酒は大きく2つのタイプに分けられます。

「純米」と名前がつくものは、醸造アルコールを一切使用していません。

原材料は「米、米麹、水」のみです。

一方、「本醸造」や「吟醸」といった「純米」とつかない名前のものは、醸造アルコールが添加されています。

「アルコールを添加する」と聞くと、かさ増しや安価なイメージを持つかもしれませんが、決してそうではありません。

少量の醸造アルコールを加えることには、大切な役割があります。

一つは、日本酒の香りをより華やかに引き立たせること。

もろみの中に閉じ込められていた吟醸香が、アルコールによって溶け出しやすくなるのです。

もう一つは、味わいをスッキリとさせ、キレを良くする効果です。

飲み口が軽快になり、保存性も高まるというメリットがあります。

この「精米歩合」と「醸造アルコール」の2つの軸を理解するだけで、8種類の特定名称酒の違いが驚くほど明確になります。

大きく分けて2種類!「純米酒」と「本醸造酒」の世界

8種類の特定名称酒は、まず「醸造アルコールの有無」で大きく2つのグループに分けられます。

さらに、それらが「精米歩合」によってそれぞれ4つに分類されます。

一目でわかる!特定名称酒8種類のスペック比較表

まずは、その8種類の特定名称酒の分類を表にまとめました。

この表を見れば、それぞれの違いが一目瞭然です。

「純米」がつくか、つかないか(醸造アルコールの有無)。

「大吟醸」「吟醸」がつくか、つかないか(精米歩合と吟醸造り)。

この2つの軸で整理すると、非常にシンプルです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

名称

原材料

精米歩合

製法の特徴

純米大吟醸酒

米, 米麹, 水

50%以下

吟醸造り

純米吟醸酒

米, 米麹, 水

60%以下

吟醸造り

特別純米酒

米, 米麹, 水

60%以下 or 特別な製法

純米酒

米, 米麹, 水

規定なし

大吟醸酒

米, 米麹, 水, 醸造アルコール

50%以下

吟醸造り

吟醸酒

米, 米麹, 水, 醸造アルコール

60%以下

吟醸造り

特別本醸造酒

米, 米麹, 水, 醸造アルコール

60%以下 or 特別な製法

本醸造酒

米, 米麹, 水, 醸造アルコール

70%以下

「純米酒」系の特徴 – お米の旨味を味わう

「純米」という名前がつくグループは、その名の通り、米、米麹、水だけで造られた「純粋」な日本酒です。

醸造アルコールを一切加えていないため、お米本来の旨味、コク、ふくよかな香りをダイレクトに感じられるのが最大の特徴です。

お米の味わいがしっかり出ているので、飲みごたえのあるタイプが多い傾向にあります。

この純米酒グループは、主に「精米歩合」によって、さらに4つに分類されます。

純米大吟醸酒・純米吟醸酒 – 華やかな香りの秘密

この2つは、純米酒系の中でも特に精米歩合が低く、「吟醸造り(ぎんじょうづくり)」という特別な製法で造られています。

吟醸造りとは、お米をよく磨き、低温でゆっくりと時間をかけて発酵させる製法のこと。

これにより、リンゴやバナナ、メロンのようなフルーティーで華やかな「吟醸香」が生まれます。

「純米大吟醸酒」は、精米歩合が50%以下。

「純米吟醸酒」は、精米歩合が60%以下。

どちらも、お米の旨味と華やかな香りを両方楽しめる、贅沢なタイプのお酒です。

一般的に、純米大吟醸の方がより雑味がなく、クリアで香り高いとされています。

特別純米酒・純米酒 – どっしりとした米の旨味

こちらは、吟醸造りよりも、お米の味わいを引き出すことに重きを置いたタイプです。

「純米酒」は、実は精米歩合に明確な規定がありません(以前は70%以下でしたが、現在は撤廃されています)。

しかし、多くの蔵元では70%程度、あるいはそれ以下に磨いている場合がほとんどです。

「特別純米酒」は、精米歩合が60%以下であるか、または「特別な製造方法」(例えば、特定の酒米を使っている、特別な酵母を使っているなど)で造られた場合に名乗ることができます。

純米吟醸との違いは、吟醸造りを必須としていない点です(もちろん、吟醸造りをしている場合もあります)。

どちらも、お米のしっかりとした旨味やコク、穏やかな香りが特徴で、どっしりとした日本酒らしさを楽しみたい方におすすめです。

「本醸造酒」系の特徴 – スッキリとした飲み口

こちらは、米、米麹、水に加え、「醸造アルコール」を添加して造られるグループです。

(※添加できるアルコールの量は、白米重量の10%以下と厳しく定められています)

醸造アルコールを加えることで、香りが引き立ち、味わいがスッキリと軽快になるのが特徴です。

純米酒系と比べると、キレが良く、いわゆる「辛口」に仕上がりやすい傾向があります。

こちらも「精米歩合」によって、4つに分類されます。

大吟醸酒・吟醸酒 – 香りを引き立てる技術

純米系と同様に、「吟醸造り」によって造られる、香りを重視したタイプです。

「大吟醸酒」は、精米歩合が50%以下。

「吟醸酒」は、精米歩合が60%以下。

純米大吟醸・純米吟醸との違いは、醸造アルコールを添加している点です。

アルコールの効果で、香りがより一層華やかに感じられ、味わいは純米系よりもスッキリ、淡麗に仕上がります。

フルーティーな香りは欲しいけれど、飲み口は軽いものが好き、という方に向いています。

特別本醸造酒・本醸造酒 – キレのある味わい

こちらは、日常的に楽しむお酒として、スッキリとした飲みやすさを追求したタイプです。

「本醸造酒」は、精米歩合が70%以下。

「特別本醸造酒」は、精米歩合が60%以下であるか、または「特別な製造方法」で造られたものです。

純米酒や特別純米酒と比べて、醸造アルコールが加わっている分、味わいにキレがあり、後味もスッキリしています。

香りは比較的穏やかで、どんな料理にも合わせやすい、食中酒として非常に優秀なタイプと言えます。

ちょっと豆知識:

ラベルに「吟醸」と書かれていなくても、純米酒や本醸造酒の中には、蔵元のこだわりで吟醸造りに近い手間をかけて造られているものもあります。

また、この8種類の基準に当てはまらない日本酒(例えば、精米歩合が70%を超える本醸造酒や、醸造アルコールの添加量が多いものなど)は、「普通酒」と呼ばれます。

それぞれの違いを確認しましたが、「理屈はわかったけど、実際に味がどう違うのかピンとこない」という方もいるかもしれません。

そんな時は、精米歩合や種類の違うお酒が一度に楽しめる「飲み比べセット」で、自分の舌で答え合わせをしてみるのが一番の近道です。


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もう迷わない!シーン別・好み別おすすめの選び方

特定名称酒の違いがわかったところで、次は「じゃあ、自分はどれを選べばいいの?」という疑問にお答えします。

華やかな香りが好きなら「吟醸酒」系をチェック

リンゴやメロンのような、フルーティーで華やかな香りがお好みの方。

そんなあなたには、名前に「吟醸」または「大吟醸」とつくお酒がおすすめです。

特に「純米大吟醸」や「大吟醸」は、精米歩合が低く、非常にデリケートな香りとクリアな味わいを持っています。

特別な日の乾杯や、お酒そのものの香りをじっくり楽しみたいリラックスタイムにぴったりです。

冷やしてワイングラスで飲むと、香りがより一層引き立ちますよ。

お米のふくよかな旨味を堪能したいなら「純米酒」系

「日本酒はやっぱり、お米の味がしっかりする方が好き!」という方。

そんなあなたには、「純米酒」または「特別純米酒」がおすすめです。

醸造アルコールを加えていないため、お米の旨味とコクが口の中にふんわりと広がります。

「吟醸」系のような派手な香りはありませんが、その分、食事との相性も抜群です。

また、純米酒系は「燗(かん)」にして飲む、いわゆる「熱燗」や「ぬる燗」にも向いています。

温めることで旨味や甘みが引き立ち、冷やで飲むのとはまた違った、まろやかな表情を見せてくれます。

肌寒い夜に、ゆっくりと燗酒を楽しむのも乙なものですよ。

料理と一緒に楽しみたい!食中酒としての選び方

日本酒の魅力は、なんといっても食事とのペアリング(相性)の良さです。

和食全般には?

お刺身や、お豆腐、野菜の煮物など、素材の味を活かした繊細な和食。

こうした料理には、お酒の香りが強すぎると料理の邪魔をしてしまいます。

香りが穏やかで、お米の旨味を感じられる「純米酒」や「特別純米酒」がよく合います。

また、キレが良くスッキリとした「本醸造酒」も、料理の味を引き立ててくれる名脇役です。

冷やでも燗でも、料理に合わせて温度を変えてみるのも楽しいですね。

濃い味付けの料理(中華や肉料理)には?

「日本酒は和食にしか合わない」と思っていませんか?

実は、そんなことはありません。

例えば、中華の油淋鶏(ユーリンチー)や、洋食のステーキ、煮込み料理など。

こういったパンチのある料理には、それに負けない力強さを持つ日本酒が合います。

しっかりとした旨味とコクのある「純米酒」は、料理の濃い味付けを受け止めてくれます。

また、あえて「純米大吟醸」のような華やかな香りのお酒を合わせることで、口の中の脂をスッキリと流し、新たな香りのマリアージュ(結婚)を生み出すことも。

キレの良い「本醸造酒」で、後味をさっぱりさせるのも良いでしょう。

「この料理には、どの日本酒が合うかな?」と考えるのも、日本酒の楽しみ方の一つです。

プレゼントや特別な日に選びたい一本は?

お世話になった方への贈り物や、記念日のお祝い。

そんなハレの日には、やはり「純米大吟醸」や「大吟醸」が選ばれることが多いです。

精米歩合が低く、手間ひまかけて造られたこれらのお酒は、味わいはもちろん、ボトルやラベルのデザインも高級感のあるものが多いため、贈り物として最適です。

華やかな香りとクリアな飲み口は、日本酒を飲み慣れていない方にも喜ばれやすいでしょう。

もし、贈る相手の好みが「しっかりした日本酒が好き」と分かっているなら、あえて「特別純米酒」や、こだわりの「純米酒」を選ぶのも“通”な選択です。

「あなたの好みに合わせて、お米の味がしっかりする選びました」と一言添えれば、きっと喜んでもらえるはずです。

【タイプ別】迷ったらコレ!違いがわかる代表的な銘柄4選

ここまで特定名称酒の違いや選び方を解説してきました。

最後に、それぞれのタイプの特徴がよく表れている、日本酒ビギナーにもおすすめの代表的な銘柄を厳選してご紹介します。

「シーン別おすすめ」で気になったタイプがあれば、ぜひチェックしてみてください。

1. 【純米大吟醸】まずは最高峰の香りを!「獺祭(だっさい)」

「とにかく華やかで美味しいお酒が飲みたい!」という方は、世界的に評価されている「獺祭」から入るのがおすすめです。

特に「磨き45」は、お米を45%まで磨いた贅沢な純米大吟醸でありながら、比較的手に取りやすい価格帯を実現しています。

洋梨やメロンのようなフルーティーな香りは、日本酒のイメージを覆すかもしれません。


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2. 【純米吟醸〜特別純米】食事との相性抜群「八海山(はっかいさん)」

新潟を代表する淡麗辛口のお酒です。 冷やせばスッキリと、温めればお米の優しい旨味が広がります。

「香りは控えめが好き」「食事の邪魔をしない、飲み飽きしないお酒がいい」という方にぴったりです。


八海山 特別純米 720ml(八海醸造 季節限定酒)呑兵衛さん向き

3. 【本醸造】毎日の晩酌に寄り添う「月桂冠(げっけいかん)」

「日本酒はやっぱり、キレとコク!」という方には、京都・伏見の老舗、月桂冠の「特撰 本醸造」がおすすめです。

適度な醸造アルコール添加によるキレの良さと、米の旨味が活きたしっかりとしたコクが特徴です。クセが少なく飲みやすいため、焼き鳥や煮込み料理など、濃い味付けの料理と最高のペアリングを見せてくれます。

熱燗にすると、そのキレと旨味がさらに際立ち、毎日の晩酌を格上げしてくれます。


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4. 【大吟醸】特別な日の贈り物に「久保田 萬寿(まんじゅ)」

プレゼントや、自分へのご褒美には、知名度・品質ともに最高クラスの「久保田 萬寿」が選ばれています。

純米大吟醸の深みと、大吟醸ならではのスッキリとした後味を併せ持つ、完成された一本。

木箱に入っているものも多く、大切な方へのギフトとして「失敗しない」選択肢です。


久保田 純米大吟醸 萬寿 720ml 2本 新潟県 朝日酒造 日本酒 化粧箱入り

「違い」がわかれば、日本酒はもっと美味しい!

「純米大吟醸」と「純米吟醸」、「本醸造」と「純米酒」。

なんとなく選んでいた日本酒も、その造りの違いや特徴がわかると、ラベルを読むのが楽しくなりませんか?

「精米歩合50%か、じゃあ香りが良さそうだな」

「これは純米酒だから、今夜の煮物と合わせてみよう」

そんな風に、自分で考えて選べるようになると、日本酒の世界は無限に広がっていきます。

今回ご紹介したのは、あくまで基本的な分類です。

日本酒の味は、使うお米の種類、酵母、水、そして何より蔵元の技術によって、千差万別です。

ぜひ、いろいろな種類の日本酒を試してみて、あなたの「お気に入り」を見つけてください。

「違い」が分かる楽しさを、ぜひ体感してみてくださいね。

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