「まったく新しいキリンビール誕生です。」のキャッチコピーをデカデカと携えて、綾瀬はるかさんがニコニコしている電車内広告を見かけたのが約1ヶ月ほど前。あー自分の好きな女優さんは一向にビールのCMに使われないなー(笑)そして「晴れ風」が出た時も似たようなコピーだったような・・・と思いながら、商品名である「グッドエール」で検索してみると、キリンビール工場で初めて「クライオホップ(CRYO Hop®)」という希少なホップ技術を採用し、フルーティさと後味の良さを両立させたという触れ込みです。普段から国内外の様々なクラフトビール、特にホップがガツンと効いたアメリカ系エクストリームビールを愛飲する私が、この話題作を本音でレビューします!事前の「リッチ&フルーティー」という情報に、ビール好きとして期待は高まりますが、果たしてその実力は?大手メーカーのエールビールは、クラフトビール愛好家をも唸らせるほどの新境地を開いたのか、それとも「日本のビールらしい無難な味」に収まっているのか。正直で忖度のないレポートをお届けします。「グッドエール」を試してみたいけど、実際のところどうなの?と思っている方は、ぜひチェックしてみてください!話題のキリン「グッドエール」とは?ビールラバーGoが注目した「CRYO Hop®」の秘密まずはキリンが満を持して発売した「グッドエール」の秘密に迫っていきましょう。グッドエールが「次世代定番」を謳う2つのポイントこの「グッドエール」が、なぜ「次世代の定番」として注目されているのか、その核となる要素は主に二つあります。それは「製法」と「素材」へのこだわりです。日本のビールでは珍しい「エールタイプ(上面発酵)」日本の大手ビールメーカーが発売する製品の多くは、「ラガー」と呼ばれる下面発酵酵母を使ったタイプが主流です。しかし、このグッドエールは、香り豊かで複雑な味わいが特徴の「エール」タイプ(上面発酵酵母)を採用しています。エールタイプは、フルーティーな香りが際立ちやすく、華やかさが楽しめるのが特徴です。キリンは、このエールタイプの持つポテンシャルを最大限に引き出し、かつ日本人の味覚に合う「飲みやすさ」を両立させようと試みています。キリン工場で初採用!香り成分を濃縮した「CRYO Hop®」とはこのグッドエールを語る上で欠かせないのが、「CRYO Hop®(クライオホップ)」という希少なホップ技術です。この特殊なホップは、通常ホップの毬花に含まれる、ビールに苦味や雑味をもたらす葉状の部分を取り除き、香り成分のもととなるルプリン(黄色い粉状の粒)だけを極低温で濃縮したものです。公式が謳うクライオホップ採用のメリットは、主に以下の点にあります。フルーティーさが際立つ味わいの実現雑味や渋みを抑えたクリーンな飲み口キリンビール工場では、このクライオホップを初めて採用し、独自のディップホップ製法(ブライトアロマ製法)と組み合わせることで、「フルーティな味・香り」と「後味の良さ」の両立を目指したそうです。ビールラバーとしては、この技術への挑戦には期待が高まります。【実飲レポート】期待のグッドエールは本当に「リッチ&フルーティー」だったのか?さて、ここからは実際に飲んでみた私のリアルなレポートです。期待を胸にグラスに注ぎ、一口飲んでみました。正直な感想をお話しすると、事前情報がもたらす高い期待値と、実際の味わいの間に、ある種のギャップを感じました。開栓直後からグラスに注いだ時のファーストインプレッションまず、缶を開けてグラスに注ぐところから、そのビールの第一印象は始まります。以前キリンのホームタップを契約していたので、今回飲むのはキリンだし、、と思い出して、グラスはホームタップに付属していたグラスを使用しました。意外なほど穏やかな香り立ち缶を開けた瞬間に、確かに柑橘系を思わせるアロマが漂います。公式サイトにある通り、「フルーティーな香り」であることは間違いありません。しかし、普段からアメリカンIPAなどの、グラスに注ぐだけで部屋中に香りが充満するようなエクストリームなホップ感を経験している私からすると、その香りは非常に穏やかでした。これはネガティブな意味だけでなく、普段あまり香りの強いビールを飲まない方や、食中に楽しみたい方にとっては、「嫌味のない、心地よい香り」として受け入れられるでしょう。柑橘のニュアンスはありますが、華やかすぎず、どこか落ち着いた印象です。泡立ちと色:エールらしい濃いめのゴールド色は、一般的な日本のラガービールと比べると、やや濃いめのゴールド。麦芽100%ならではの深みを感じさせます。泡立ちは標準的で、すぐに消えることはなく、エールタイプとしては泡持ちも悪くない印象です。視覚的には、スーパーやコンビニに並ぶ大手ビールとしては、しっかりとした高級感をまとっていると感じました。筆者Goが感じた「グッドエール」の正直な味わいいよいよ口に含んだ時の感想です。ビールに造詣の深い私が、公式の謳い文句である「リッチ&フルーティー」をどう評価したのか、率直に述べさせていただきます。複雑なホップ感<フルーティーで「飲みやすい」軽やかさ味わいの特徴は、香り同様に非常にクリーンでフルーティーです。しかし、「リッチ」という言葉から連想されるような、麦芽の濃厚さやホップの複雑な苦味、ボディの重厚感は、正直言って感じられませんでした。キリンが目指したであろう「フルーティーな味・香り」と「後味の良さ」の両立は、見事に実現されています。エールタイプ特有の華やかさを持ちながら、喉越しはクリアで、雑味がほとんどありません。これが、大手メーカーの技術力とクライオホップのなせる業なのでしょう。マニアックな感想:「ふーん」で終わってしまった正直な理由これは私のような「エクストリームなビール」を飲み慣れた者の偏った意見であることを前置きした上で申し上げます。初めて飲んだ時の率直な感想は「ふーん、なるほどね」でした(笑)。なぜそう感じたかというと、このグッドエールは、「日本のクラフトビールでよく当たる感覚」の範疇を抜け出ていないと感じたからです。最近の日本のクラフトビール界隈で増えている「飲みやすいセッションIPA」や「フルーティーなペールエール」と比べて、劇的な新しさや、強烈な個性、ホップの爆発力は感じられませんでした。クライオホップは確かに画期的な素材ですが、私の知る限り、クラフトビール業界では既に一般的な技術です。そのため、「すごい技術を使っているのだから、もっとガツンと来るだろう」という過度な期待が、結果的に「想像通り」という感想に繋がってしまったのだと思います。「軽さ」はメリット?疲れた日には嬉しいクリアな後味一方で、このグッドエールの持つ「軽さ」は、実は最大のメリットでもあります。最近のキリン製品は「晴れ風」も含めて全体的にライトなものが増えているという印象がありますが、この「軽さ」のおかげで、グッドエールは非常に飲みやすい仕上がりとなっています。仕事で疲れて帰宅した日など、「今日は重いビールはちょっと…」という気分の時に、このフルーティーさとクリアな後味は非常に心地よいです。クラフトビールが苦手な方でも、「これはビールなの?」と驚くほどスッキリしていて、日常のちょっとしたご褒美として、ラガービールと同じ感覚で手軽に楽しめる点が魅力です。グッドエールが輝く瞬間:おすすめの飲用シーンとペアリング私の個人的な辛口評価はありましたが、このビールが「次世代定番」として広く愛される可能性は十分に秘めています。なぜなら、その穏やかなフルーティーさが、特定のシーンや食事と見事にマッチするからです。こんな人・こんな食事にこそ「グッドエール」を飲んでほしい私が実飲した経験に基づき、この「グッドエール」をおすすめしたい人、そして最も相性が良かったフードペアリングを2種類ご紹介します。このグッドエールは、以下の2つの読者層に特におすすめしたい一本です。エールビール初心者:クラフトビールの「フルーティー」という言葉に興味はあるが、独特の苦味や香りの強さに躊躇していた方。このビールは雑味が少なく、クリアな飲み口なので、エールビールの世界へのスムーズな導入として最適です。普段はラガー派だが、たまには気分を変えたい人:「スーパードライ」のようなキレを好むラガー派の方でも、違和感なくフルーティーな気分転換ができます。ホップの青臭さや重さがほとんどないため、新しい定番として迎え入れやすいでしょう。筆者Goが選ぶ!グッドエールに合う意外なフードペアリング「グッドエール」の持つフルーティーさとクリアな後味は、意外なほど様々な料理と調和します。特に相性が良いと感じたのは、以下の2つの組み合わせです。フレッシュなチーズとハーブの効いたサラダ:ビールの「軽さ」が、サラダの爽やかさやハーブの香りを引き立てます。グッドエールの持つわずかな柑橘系のニュアンスが、ドレッシング代わりになり、軽食や前菜として最高の組み合わせです。鶏肉のハーブグリルや白身魚のムニエル:重い味付けの肉料理ではビールのボディが負けてしまいますが、ハーブやレモンでシンプルに味付けした鶏肉や白身魚とは抜群の相性です。クリアな後味が、口の中の脂を適度に流しつつ、肉や魚の繊細な旨味を邪魔しません。【結論】ゴクゴク飲みたい日常の「ちょっとしたご褒美」にグッドエールは、「飲んでいて疲れないビール」です。マニアックな視点で見れば「パンチに欠ける」かもしれませんが、それは裏を返せば「毎日でも飲めるクオリティのエールビール」ということ。仕事終わりや週末のリラックスタイムに、難しいことを考えずに「あ、美味しいな」と感じさせてくれる、日常のささやかなご褒美として、非常に優秀な一本だと結論づけます。まとめ:「グッドエール」は日本のビール市場のどこに位置するのかこの「グッドエール」は、日本のビール市場におけるキリンの新たな挑戦であり、その狙いは「エールとラガーの橋渡し役」という点に集約されます。「エールとラガーの橋渡し役」としての価値クラフトビールブームは定着したものの、未だに「ビール=ラガー」という認識が強い日本の市場において、グッドエールは「エールビールってこんなに飲みやすいんだ」という気づきを与えてくれる存在です。伝統的な大手メーカーの技術力と、最先端のホップ技術(CRYO Hop®)を融合させることで、「個性がありながらも大衆性も兼ね備えた」という絶妙なバランスを実現しています。私の様なヘビーユーザーには物足りなくても、この飲みやすさこそが、今後エールビール市場を拡大していく上で、最も重要な要素になるでしょう。キリンの意図通り、フルーティーさと後味の良さが高次元で両立しており、ビール市場に新たな選択肢を提供してくれることは間違いありません。普段の晩酌のラインナップに、ぜひ加えていただきたい一本です。キリン「グッドエール」商品詳細情報キリン「グッドエール」の主な商品情報は以下の通りです。項目内容商品名キリン グッドエール酒類ビール原材料麦芽(外国製造又は国内製造5%未満)、ホップアルコール分5%特徴的な製法・素材エールタイプ(上面発酵酵母)、麦芽100%、Cryo Hop®(クライオホップ)使用、ブライトアロマ製法味わいの特徴「フルーティな味・香り」と「後味の良さ」を両立した、満足感のある味わい販売場所全国のコンビニエンスストア、スーパーマーケット、酒販店など